木材会社の在庫は、同じ材積でも樹種・寸法・等級・乾燥状態・用途によって販売や加工の条件が異なります。M&Aの準備では、帳簿金額を示すだけでなく、「誰の材か」「どの工程にあるか」「何に使えるか」を説明できる一覧にします。整理の目的は価格を高く見せることではなく、現物と台帳の差、追加加工や処分の必要性を買い手と確認できる状態にすることです。
まず棚卸日と所有区分をそろえる
原木、仕掛品、乾燥待ち、養生中、完成品、規格外品を分け、同じ基準日の数量を記録します。工場、土場、外部倉庫、委託先の保管材を一覧化し、自社所有の材と顧客・仕入先からの預かり材を混ぜないようにします。棚卸中の入出荷は別に控え、数え漏れや二重計上を確認してください。
一覧には品目番号、保管場所、樹種、寸法、等級、数量と単位、入荷・加工日、所有者区分、帳簿金額を記載します。写真の番号を品目番号に合わせると、現場の説明と資料がつながります。取引先名は初期段階では「仕入先A」「販売先B」などの記号で構いません。
樹種・等級・含水率・滞留材を確認する表
次の表は整理の例です。表は横にスクロールできます。
| 項目 | 揃える資料 | 説明すること |
|---|---|---|
| 樹種・寸法・用途 | 品目別台帳、入荷伝票、寸法表、保管場所の写真 | 樹種や規格の混在、使える製品・顧客、追加の切削・選別が必要な材を区分します。 |
| 等級・品質 | 検査・格付記録、不適合品・返品記録、認証の対象範囲 | 外観だけで判断せず、表示の根拠や品質上の制約を確認します。認証対象外の製品は分けます。 |
| 含水率・乾燥状態 | 測定日・測定方法・測定箇所の記録、乾燥日報、保管条件 | 測定条件を合わせ、乾燥待ち・再乾燥の必要性と、出荷までの工程・費用を整理します。 |
| 滞留・規格外材 | 入荷時期、最終出荷日、販売実績、劣化状況と処分見積り | 保有年数だけで一律評価せず、販売先、再加工の可否、保管・処分の負担を確認します。 |
| 棚卸差・引当・所有 | 実地棚卸表、差異明細、受注との引当表、預かり証、委託加工先の残高 | 出荷済み未処理、返品、預かり材、他拠点在庫を照合し、差の理由と修正履歴を残します。 |
帳簿価額と譲渡条件への反映を分ける
会計上の帳簿価額と、買い手が見込む販売可能性は同じとは限りません。例えば、仮に「品目A」が乾燥待ちなら、完成品として一括表示せず、現在の状態、追加加工、納期を示します。特定の年数や含水率だけで一律に値引き率を決める説明は避けます。
在庫の評価差を譲渡価格にどう反映するかは、企業価値の算定方法や契約条件と合わせて確認します。正常な運転資金に含めて評価した在庫を、別の資産として重複して上乗せしないよう、税理士・公認会計士等と前提をそろえます。棚卸の基準日から実行日までの増減や、処分予定材をどちらが負担するかも協議事項です。
品質・合法性の記録を在庫番号に結び付ける
JAS表示の根拠となる格付・検査記録と、クリーンウッド法に関する原材料情報・確認記録は、目的を分けて保管します。納品先に伝達する情報が、どのロットに対応するかも確認してください。制度の対象や取引上の立場は、林野庁のクリーンウッド法の案内、品質・格付は農林水産省のJAS規格・認証基準で確認できます。
初回相談は不足資料の洗い出しから
すべての台帳が完成していなくても、保管場所、在庫の大まかな区分、現場を説明できる担当者を整理すれば相談を始められます。ホームの初回相談用資料表、在庫・設備・正常収益力の評価記事も参考にしてください。
当センターが譲渡企業様から受け取る相談料・着手金・中間金・月額報酬・成功報酬は0円です。外部専門家、デューデリジェンス、登記、公租公課、その他実費が別途必要な場合は事前にご案内します。
内容確認:2026年9月7日。資料表は一般的な準備例であり、個別の会計・税務判断や譲渡価格を確定するものではありません。
